19時過ぎの京都駅
新幹線の改札で振り返らない
彼とのバイバイ
手を握ることも
抱き合うこともしないまま
次に会える約束はしない
それは、いつも通り
でも今回ばかりは
今までよりも数十倍淋しくて哀しい
今日は朝一、大阪から京都へ向かう
彼の発した、何となくの戯言
「京都一緒にまわりゃええやん」
それが具現化される
紅葉も一段落し空気も澄んでいる
蒼い空に白い雲
山の緑と多彩な紅葉色
コントラストが絶妙の洛北、洛東
[修学院離宮]から始まる散策デート
手をつなぎ彼の好きな寺院仏閣をめぐる
次に向かうは趣のある[曼殊院門跡]
そして侘び寂びを感じる[詩仙堂]
座ってゆっくりと庭や空を眺める
時折吹く風、ゆったりと流れる時間に
身を包まれる感じは贅沢以外の何ものでもない
そろそろお腹も空いてくる
京都ならではの御膳なランチを期待するも
入った店は京都のソウルフード
[天下一品総本店]
そういうところも彼らしい
お腹を満たしたら
[哲学の道]を楽しみながら[永観堂]へ
紅葉寺と言われるだけあり
一面に敷かれた散り紅葉
踏む足音が季節を感じさせる
そのまま[南禅寺]を目指す
目の前に現れる天下龍門は圧巻の佇まい
水路閣を通り[蹴上インクライン]
琵琶湖の壮大さ、この一片でも感じられる場所
そして[平安神宮]でコーヒーブレイク
その後は[六波羅蜜寺]へとバス移動
夕暮れ時の[高台寺]から臨む京都の町並み
夕焼けに浮かぶシルエットは八坂の塔
茜色の空と相まってその美しさに魅了される
そして二人でピッタリと寄り添い
離れずに歩く[石塀小路]
夕刻時、和の灯りが灯った小路
身に纏う静寂さ、古都京都でしか味わえない
そう思えるほど幻想的な異世界の雰囲気に
心が震えた
彼以外とはもう誰とも歩きたくないとさえ思う
そして向かうは[八坂神社]
気づけば夢から醒める時間
私の京都は終わりを迎えた