3ヶ月ぶりのデート
はしご酒もせず
ただひたすらに
閉店時間まで
本音を話す日だった‥
「ぼーさ、ワシに気を遣こうてるやろ？」
「そりゃ遣うよ、忙しいの知ってるし
一緒にやりたいこととか、会いたいなとかね
もう少し言えばいいんだろうなとは思うけど
基本的に私からしか誘わないもんな
だから会いたいのは私だけなのかと思うし
兄さんからの連絡って兄さんが言いたいこと
喋り倒すときか、ワシこんな頑張ってるのに
みたいな時にしかしてこないよね(笑)
私が話たいときには冷たいしなあ〜(笑)
だからどうせ私の片思いだよなと思ってるよ」
「そんなことないわ〜
ワシかて気ぃ遣こうてるんやで、これでもw
断わられるの嫌で、ゆーてこんのやろなと
そう思ってはいるんやけどな、違うか？
あと、流行りの承認欲求の話やけど
なんかな、コイツに認められたいって
そう思える相手がホンマにぼーだけなんや
だから他の誰でもなく連絡してまうんや
それにな、ワシかて会いたいって思ってるわ
大好きやで、ぼーのことは‥当たり前やろ」
ずっと曖昧な関係でいいと思っていた
終わるくらいなら始めないでいい
だから彼は彼氏じゃないし私は彼女じゃない
きっと
お互いに
欲してる
だろう
憶測のままでいい
会えている時間だけが真実だから
そう納得していたはずなのにね
「ぼーのこと好きやで」
何度も何度も言葉にしてくれた
「兄さんのこと好きだよ」
何度も何度も言葉にした
「ワシにとってぼーはいつも女や
せやから家族の話をワシからしたことない
敢えてそんなんしないわ、普通な
ぼーがするからしたまでやで、知らんやろ」
全然知らなかった
友だちのラインを残しておく
敢えてそうしているんじゃなかったのか？
「え？そーだったの？
何十年ぶりかに再会したじゃん
相変わらず気も合うなって思ったし
今みたいな関係じゃなかったとしても
年1くらい呑みには行ってただろうなって
思ってたんだけど私は」
「それはない！ワシからしたらずっと女やしな
ってかさ、ワシは再会してから遅かれ早かれ
ぼーを抱きたいって思ってたからな
その昔、セックスしてなくても合うなー
そう思ってた相手やで、オマエは
再会してやっぱり好きや、合うわって
そう思ったら抱きたくなるの当たり前やろ」
4年目にして知る本音
何故かGWの予定も決まりそう
夏には念願の旅行にも行けそう
まぁこれはどう詰めていくかわからないし
具現化されるかはわからないけれど
彼の出るトレラン大会のボランティア
これには申し込んだ
それには喜んでくれていた
ツラい先にぼーがいるのは嬉しい‥と
でね
なんで
こんなにこの日に
いつになく甘い時間を過ごせたかってところで
実は彼、病気で経過観察中なんだって
ここ3年くらいの話みたいで
甲状腺の値がよくなくて
ガン化する疑いもあり
あまりよくない方向なのだとか
「聞かれないからゆーてない」
いやいや、普通聞かないよね
どう質問するんだろう？
何も知らないのに病気ですか？
とか言わないよね？
色々思うにさ
最近の会う頻度とか明らかに変で
ハイペースにも程がある
一泊の旅行も一応は了承してくれたんだよね
それってもしてかして
想い出作りなのかもしれないね
そう思うと
途端に泣けてきてしまった
あの日から涙が止まらないでいる
生きてればいつかはおわる
誰にでも死は訪れる
当たり前のことだし
私だって明日が来るかの保証はない
もちろんそれはそうなんだけど
急なカミングアウトに少しだけ動揺した
「実のところ来年あるかわからんのよ」
そんな言葉聞くとは思わなかったな
